時代の変化を捉えた「布団をかけないこたつ」(愛知県)

 冬の和室に欠かせないものとして親しまれているこたつ。しかし、生活が洋風化して洋室が主流となると、こたつで暖を取る楽しみはなくなってしまうのではないか。そんな心配を吹き飛ばすのが、メトロ電気工業(株)(愛知県安城市)が開発した「布団をかけないこたつステルス」です(中日新聞社経済部編『元気のタネ がんばる東海の企業』中日新聞社)。
 フローリング(板張り)住宅の普及により、こたつの出番は減っていくと思われましたが、こたつに愛着を持つユーザーが多いことから、多くの家具メーカーが、イスとセットになった高脚テーブル型こたつを売り出しました。これらは布団をかけるタイプであり、通常のこたつの脚を長くして、イスとセットにしたものです。ところが、ほこりが舞いやすく食事の際に気になる、熱を逃さないようにイスの脚の間が板張りになっているなど、不便な点がありました。ユーザーからも不満の声が上がりました。
 そうした問題点を解決したのが、「布団をかけないこたつステルス」です。通常のこたつは、ヒーターから出る赤外線で空気を暖めて布団がその熱を逃さないようにしています。しかしステルスは、ヒーターの熱を直接、足にあてるため、布団がいりません。イスも、通常の仕様のイスで間に合います。ヒーターを目立たなくしているため、シーズンを問わずに使えます。
 ステルスは、岐阜県高山市の家具メーカーであるHIDAKAGU(株)との共同開発です。メトロ電気工業のヒーターとHIDAKAGUのテーブルセットを組み合わせて、生み出されました。
 「時代の変化を捉える」「他社と連携して新製品を生み出す」「顧客の声に応える」ことの大切さを同社の取組みは教えてくれます。