実証された創業後の現実

 小企業は、創業してからどうなるのか。その実証研究をまとめた書籍が刊行されました。日本政策金融公庫総合研究所の鈴木正明上席主任研究員が著した『新規開業企業の軌跡』勁草書房)がそれです。2006年から公庫の融資先2,897社を5年にわたって追跡調査した結果が、廃業、業績、雇用、資金調達、取引関係、満足度、生活の変化といった観点から語られています。
 主なファクトファインディングは「廃業企業の割合は年3〜4%」「受注単価や顧客確保で苦労している」「マネジメント能力への自信と拡大意欲を持つ企業が雇用を増やしている」「開業後、金融機関からの借り入れを活発に行っている」「顧客を確保してから創業した企業の存続確率は高い」「収入への満足度は低い」「開業者は長時間働いている」などです。これらはいずれも創業支援機関の関係者にとっては実感を伴う調査結果でしょう。まさに創業後の現実を説明するものです。
 こうした厳しい現実があるから開業率は高まらないともいえます。政府が目標に掲げる開業率の改善は、厳しい現実を認識することから出発しなければ、達成は難しいでしょう。