若者流出にまつわる誤解(鳥取県)

 鳥取県では若者の県外流出が深刻化しており、重要な政策課題となっていると言われます。ここには大きな誤解が二つあります。
 一つは「若者の県外流出が増えている」との見方です。少子化が進んでいますから、それはありえません。鳥取県人口移動調査をみると、2016年の20代の県外流出は前年比で357人減っています。
 もう一つは「若者が大都市に憧れて出ていく」という見方です。若者が自分の意思で行動した結果、人口流出が進んでおり、それを食い止めるのは容易ではないと思う人が多いようです。この見方は誤りです。若者は好き好んで都会に出ていくわけではありません。地元では暮らしていけないと周りから教えられるために、生きていくには都会に行くしかないと思い込まされているのです。実際には鳥取県の方が東京都よりも求人倍率が高く、仕事はあります。稼げる企業も少なくありません。
 若者流出の議論で危険なのは、大人たちのこうした誤解です。若者の流出は増えていませんし、彼らは流出したがっているわけでもありません。大人の誤った常識が若者たちを誤らせていることを認識すべきです。
 地元のすばらしさを積極的に認めて、若者たちに自信をもって伝えていく。それが大人の責務です。