『東京劣化』(by松谷明彦)

 人口減少研究の第一人者といわれる松谷明彦政策研究大学院大学名誉教授は、「東京は、2020年代後半には、全国的な少子化流入する若者が激減する一方、これまで大量に流入した若者が歳を取り高齢者が急増して、都市の劣化が起こる。地方は、若者の流出を抑えるのではなく、都会で力をつけた若者が戻ってくるような地方経済、地方社会をつくることに方向転換すべき」と指摘しています(松谷明彦東京劣化 地方以上に劇的な首都の人口問題』PHP研究所)。
 2010年から2040年にかけて、東京は高齢者が143万人も増え、インフラを維持できず、貧困層が増え、労働力が劣化し、文化や情報発信力も弱まりスラム化する危機にある、と松谷教授は言います。東京がかつてのような魅力をもたなくなるということです。
 東京には働き口がある、東京には文化があると思って東京にあこがれる地方の若者は多いですが、これからはそのような魅力は失われていきます。
 こうした現実を地方の大人たちは若者に正しく伝え、地方のすばらしさ、地方で働くことの生きがいを感じさせることが必要でしょう。それができれば、若者は地元に留まるか、あるいは出ていっても、いずれ戻ってくるでしょう。「地方は消滅しない」と松谷教授は力強く言い切ります。地方を元気づけるすばらしいメッセージです。