独自工法で脱・トヨタ依存を実現した小企業

 日本最大の企業といわれるトヨタ自動車。そのトヨタを頂点とする巨大な系列はトヨタピラミッドと呼ばれますが、その巨大なピラミッドが今、拠点を海外へと移し始めています。その流れに乗るべきかどうか。多くの系列企業が選択を迫られている中で、脱トヨタという第3の選択を行った小企業もあります。
 名古屋市にある(株)ディーファクトは、1997年に建築金物・木材加工機械メーカーとしてスタートしました。木材に細く深い溝を切る「スリットカッター」を開発し、木造住宅を純ラーメン工法で建築できるようにしました。これにより、耐力壁なしで耐震性に優れた木造住宅「へっじの家」を実現したのです。耐力壁を使いませんので、木造でありながら大開口・大空間を作ることが可能となり、家族構成やライフスタイルの変化に合わせたリフォームが容易に行えます。それでいて災害にも強い。加齢と災害の2つのリスクをヘッジする家という意味で「へっじの家」と名付けています。
 服部進吾社長のお父さんは、トヨタの下請け企業に機械や金物を納入していた町工場を経営していました。服部社長はそこで3年修行してから同社を立ち上げました。国内で生き残るには独自技術で新市場を拓くことだという強い思いで、がんばっています。ディーファクトの取組みは、多くの下請け企業に勇気を与えてくれます(詳しくは日本政策金融公庫編『新たなターゲットを拓く−小企業の販路開拓戦略』に)。