グローバルリスクを抑えるためのファクトフルネス(byハンス・ロスリング)

 世界的ベストセラーの著者で医師のハンス・ロスリング氏は、「(人類が)心配すべき5つのグローバルリスクは、感染症の世界的流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、極度の貧困であるが、世界の人々が冷静になり力を合わせて取り組めば抑制することは可能だ。そのために人々が『事実に基づく世界の見方』(ファクトフルネス)を身につけることが大切だ」と言います(ハンス・ロスリング他『ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣日経BP社)。

 多くの人々が信じがちな考え、すなわち「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」という先入観は誤りだと、氏はデータを用いて説明します。

 「ドラマチックすぎる世界の見方は精神衛生上よくないし、そもそも正しくない。世界の大部分の人は中間所得層に属し、極度の貧困層は過去20年で半減している、『事実に基づく世界の見方』をすれば、時を重ねるごとに世界はよくなっている」と言います。

 私たちが悲観的な考えに陥りがちなのは、10の思い込み(分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能)に囚われやすいからであり、『事実に基づく世界の見方』をすることで、これらの思い込みから解放されるとロスリング氏は主張します。

 世界規模の巨大なリスクに立ち向かうための勇気を氏の著書は与えてくれます。