バブル期に60歳で起業−アタム技研(名古屋市)

 バブル期に60歳でコンサルタント業を起業し、バブル崩壊の荒波を受けながらも、シニア市場向け自社製品の開発で危機を突破した企業。それが名古屋市にあるアタム技研(株)です。
 リンナイの専務だった玉田一實氏は1990年にアタム技研(株)を設立し、社長に就きました。当初は、コンサルティングと研究開発の受託から出発し、軌道に乗るところでした。ところがバブル崩壊で一転、会社は存亡の危機に。自社製品を持たないと会社がもたない。そこで1995年に業務用食器洗浄機向け給湯器「ガスブースター」を開発して急場をしのぎ、2004年には全自動車イス洗浄機を開発・発売して福祉分野に参入しました。シニア市場の核ともいえる福祉分野は開拓の余地が大きいとみて多目的洗浄機などでシェアを拡げ、今や年商は3億5千万円を超えました。その4割は福祉関連の売上が占めます。
 シニア起業家によるシニア市場の開拓。時代を反映した模範的な成功事例といえるでしょう。