「小さな仕事」に従事する定年後は楽しい(by坂本貴志)

 定年後はどうなるのかと不安を感じておられる年配のサラリーマンは多いと思います。そんな不安を解消してくれる本が出版されました。坂本貴志さんの『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』講談社現代新書)です。

 この本では、定年後の「事実」として、「年収は300万円以下が大半」「生活費は月30万円まで低下」「稼ぐべきは月10万円」「純貯蓄の中央値は1,500万円」「多数派を占める非正規とフリーランス」「60代から能力の低下を認識する」「負荷が下がり、ストレスから解放される」「50代で就労観は一変する」「6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活」「経済とは「小さな仕事の積み重ね」である」といったことが、データをもとに語られています。

 定年後の「小さな仕事」に無理なく従事しながら、日々慎ましくも幸せな生活を送っているのが高齢期の「典型」であるという指摘は、勇気を与えてくれます。定年後を身も心も豊かに過ごすために、多くの年配の方に読んでいただきたい良書です。