「普通のあなた」が社会のルールを変える(by駒崎弘樹)

 「社会づくりに関わる政策起業家をみんなで目指そう」とNPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんは言います(駒崎弘樹政策起業家―「普通のあなた」が社会のルールを変える方法筑摩書房)。

 政策起業家とは「官僚や政治家だけでは解決できない複雑な政策課題に向き合い、公のための課題意識のもと、専門性・現場知・新しい視点を持って課題の政策アジェンダ化に尽力し、その政策の実装に影響力を与える個人」のことです(元朝日新聞主筆船橋洋一氏による定義)。

 駒崎さんは、保育園、病児や障害児保育、特別養子縁組支援などの児童福祉を行っていますが、政策起業家として、さまざまな政策の策定にも関わってきました。小規模認可保育所・障害児保育園の制度化、医療的ケア児基本報酬の制定、ひとり親への児童扶養手当の倍増、保育士の給与アップ、保育士試験の年2回化、男性育休取得義務化、こども宅食の全国展開などは、駒崎さんが提案し、その情熱で多くの人を巻き込んで実現した成果です。

 こうした子供向け福祉の政策策定を民間人が担ってきたことは驚くべきですが、駒崎さんは「この人たちの不条理を何とかしたいという強い思いがあれば、政策起業家には誰もがなれる」と言います。どこにでもいる普通の人が、政策起業家としてよりよい社会を創り上げていく。そんな夢を描ける力強い言葉です。