「民主導型」分配を考える時

 各政党がこぞって分配についての政策を主張していますが、財源が見当たらないため、バラマキ合戦と批判されています。官主導での分配の議論は限界にきているのかもしれません。

 国債を大量に発行して資金を集めて社会保障費などにあててきた結果、国の債務残高(GDP比)が240%と、先進国でダントツの水準に増大しました。官主導の分配は十分に行われたと考えるべきでしょう。ではどうしたらよいのか。民主導の分配を考える時だと思います。

 我が国は経済成長や実質賃金が頭打ちになったといわれますが、GDP(国内総生産)は553兆円あり、一人当たり国民総所得は450万円あります。新たに富を生み出すことが難しいのであれば、今のお金の流れを変える議論をすべきでしょう。

 たとえば、クルマ社会と言われる過剰な乗用車保有をあらためる。乗用車の世帯当たり保有率が国内最高の福井県(2.03台)が、保有率を全国平均並み(1.23台)に下げれば、年間700億円以上のお金が浮きます。これは世帯当たり23万円の給付金を提供することに相当します。このお金を介護や教育など未来を創造する産業への消費に回せば、地域が元気になります。民主導型の分配が実現します。

 「分配の財源は民間から」という発想で議論が行われるべきだと思います。